大判例

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東京高等裁判所 昭和55年(ネ)200号 判決

ところで、およそ所有権又は占有権の円満な状態が他から侵害される危険があるに至ったときには、所有権又は占有権を有する者は、その効力として、権利の円満な状態を保全するため、現にこの危険を生ぜしめつつある者に対しその者の費用において危険防止の措置を請求することができ、しかも当該危険が右の者の行為に基づくと否とを問わず、又、その者の故意、過失の有無を論じないものというべきであるが、右の危険が相隣地の関係にある場合に、それが土地崩落を内容とするものであり、しかも隣接土地所有者の人為的作為に基づくものでないときには、前記の請求をなし得ないものと解するのが相当である。けだし、相隣地の関係にある場合には、右のような危険は相隣地両地に共通に同時に発生する特性を有するものであり、右予防措置を講ずることは相隣地両地にとって等しくその必要性があり利益になるものといえるうえ、これを実施するには多大の費用を要することが一般であるから、このような場合において、一方の土地の所有者又は占有者にかかる請求権を認めることは著しく衡平に反するものといわねばならないからである。そして、このような場合には、むしろ土地相隣関係の調整の立場から民法二二三条、二二六条、二二九条、二三二条の規定を類推し、相隣地所有者が共同の費用をもって右予防措置を講ずべきである。(なお、予防措置のための工事の実施、費用分担などについては、まず相隣地当事者間で協議し、もし協議が調わないときは、一方でこれを施工したうえ、他方にその分担すべき費用の補債を請求すべきである。)。

(岡垣 磯部 大塚)

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